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ピアノの痛みのはじまり、解決します|痛みの対処方法と根本解決へのヒント

ピアノ大好き

札幌市南区芸術の森・石山東地区で、スタインウェイピアノ教室を主宰する、西岡裕美子です。

前回の記事で痛くない弾き方について触れました。

今回は、いよいよ具体的にどうしたらいいのかを書いていきたいと思います。

ここでどんな痛みも共通の考え方があります。

まずはそこから書いていきます。

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目次

「疲れる」と「痛む」は違う

疲れた・・・

「疲れる」も「痛む」もある程度弾き続けると起こる現象です。
日をまたいで練習していったときに、違いが出てきます。
1週間で変わってくる場合もありますが、年単位で改善することもあります。

「疲れる」・・・練習すればするほどなくなっていく
「痛む」・・・練習すすればするほど増えていく

でも、痛い!と感じたその時に、それは「疲れた」のか「痛い」のか、区別はつきますか?

まずつきませんね。無理です。
経験したことがなければわかりません。

基本的には以下のように対処します。

➀まずやめて休む。
とにかく弾くのをやめてください。
すぐにです。

②どこが痛いか、さすってみたりゆっくり動かしてみたりして痛い所を確認し、痛くなくなるまで何もしない。
痛いところがどこなのか、突き止めてください。
何もしないというのは、本当に何もしないのが理想です。
腱鞘炎の場合には、ブラシで髪をとかすことも痛くてできなくなります。
顔も洗えません。

③痛みや疲れが取れたら、ゆっくり弾く。
激しく弾いてはいけません。
ゆっくりです。
徐々にいつものテンポで、痛くなってしまったら、➀に戻ります。
頻繁に痛いようなら、もう自分で対処できないので、お医者様に見てもらってください。
整形外科でレントゲンを撮ってもらってください。

もしなんでもなければ、休むしかありません。
炎症が起きていれば、言わずもがな、休んでください。

各指が痛い時

親指・人差し指・・・と各指が痛むときは、すぐに弾くのをやめてください。


特定の指が痛むときは、

➀その指を使いすぎているか
②指使いが手の構造に対して無理をかけているか
③手の構造に無理のかかる動きをしているか

です。


➀その指を使いすぎているか

指の使い過ぎは、ただ休ませてあげて下さい。
軽いストレッチも必要です。
指の曲げ伸ばしをしてください。

②指使いが手の構造に対して無理をかけているか

指は、2方向に生えています。
1つは親指の方向、もう一つは残り4本の人差し指から小指までです。
この二つの方向同士をパクパクする動きを指番号にうまく取り入れたような指番号が普通は楽譜に書かれています。
4本の指同士で超えたりくぐったりしてばかりいると、すぐに痛くなります。

③手の構造に無理のかかる動きをしているか

手の関節はとても小さく、大きな力には対抗できません。
どこか一つの関節でも、固くロックした状態でピアノを弾き続けると、そのロックした状態の関節がいずれ悲鳴を上げます。
多くの関節があるため、一つ一つのチェックはできません。
なので、力の入っていない状態の手の感覚を常に保持し続けて鍵盤に触れることが大切となってきます。

腕が疲れる・痛い時

➀休む

ハノンや、同じ伴奏形が続いて、腕がつかれた時は、休んでください。

②ゆっくり弾く

そして、どうやって弾いたら楽に弾けるかを追求しましょう。
基本的に、多くの音符で疲れるとか痛いとかいう感覚になるのは、音が多すぎるからで、
ゆっくり弾けば疲れたり痛んだりしません。
なるべくゆっくり弾いて、疲れない方法を探ります。

③姿勢を整える、重心を下げる

腕は肩から出ていますが、上半身を支えるのは腰です。
腕でピアノを弾くわけですから、上半身の重みは腰で支えるべきです。
よって、腰にしっかり体の中心を持ってくることで、肩に入る力が解放されて、腕が楽になります。

以下、重心を下げる方法です。
・楽な姿勢で立つ
・両手でこぶしを作り、両足の外側を、両足の付け根から足元へ、下にむかって軽くたたいていく。
・何回か繰り返す

この感覚を覚えることが大切です。

肩が痛い・疲れるとき

➀肩をさげる

肩が上がっていることが多いですので、先ほどの重心を下げる方法を実践して、肩を下げてください。
ただ肩を下げてもうまく下がりません。
癖になっていることが自分で気づきにくいからです。

②ゆっくり弾く

ゆっくり弾きながら、重心が下がっていることや肩が上がっていないこと、腰がしっかりしていることなどを確認する

以上各所の症状と対策です。
連動していることがほとんどですので、全体的に確認していただくことをお勧めします。

ゆっくり弾くとは具体的にはどうするの?

ゆっくり弾こう

本当にゆっくり弾くと、自分がどこを弾いているのかわからないほど迷子になった気持ちになります。
場所によって、また状態によって変わりますが、1つの音から次の音に移るまで5秒ほどかかるような感覚、と思ってください。
なぜそんなにかかるのかというと、やることが多いからです。
初めは、曲で実践するより単にドレミファソのみで弾いたほうが、わかりやすいでしょう。

手をぶらんと下げて、腰から左右に回転させて、肩を交互に前後に振るような状態で腕をぶらぶらさせてみてください。
ぶらぶらさせているときは力が入っていないと思います。
その感覚が、演奏時継続すると思って、それを目指してください。
腕をチェックして、手を鍵盤に乗せて、指を動かすところまで、ずっとその状態を保持することを心がけてください。
先ほど肩を動かした動きは、手のポジション移動をするときに使う動きでもあります。
肩が上がってしまう癖があるよ、と気づいた方は、肩の力を使わないとピアノが弾けない、大きな音が出ない、と勘違いしている可能性があります。中学生の頃の私がそうでした。
そんなことしなくても大きな音は出ます。
出るだけではなく、本当にいい音が出ますので、ぜひ肩を上げないで演奏する方法をマスターしてください。

ピアノを弾くときに初めに動かすのは、腕です。
力を抜くと、とても重いものです。
動かしたいと思ってから動かすこと。
そして、急に動かさずに、ひとりでに動いていると思われるほど、ゆっくり動かすこと。
もし急に動かすと、無理やり動かしてしまうかもしれないので、力が入りやすいのです。

手首

手首に力が入っていないと、腕を動かしたときに、手がだらんとなり、日本の幽霊の「うらめしや~」のイメージになります。
とにかく柔らかくしておくことです。

できるだけ動かさずに、ゆっくり鍵盤に乗せます。
ただ乗せただけでは、鍵盤は下がらずに、音は出ません。
できるだけ動かさずに目標の鍵盤上に乗せます。
鍵盤を下げるときは、ひとりでに動いていると思うほど、動いていることが自然になるようにゆっくり弾きます。
「指が意識を持っている」と思うとわかりやすいでしょうか。

効率のよいチェック方法

深呼吸

あまり効果が出ないという方や、もっと効果を出したいという方へ、おススメの方法です。

先ほどの、肩~指のチェックの前に、もう一段階増やしてみると、さらに効果的です。

➀ピアノの前に座ります

②重心(座面の下くらいを目指しましょう)に上半身をのせて、楽な姿勢をとる

③息を鼻から吸って吐いてをゆっくり繰り返します。

④頭から足の指まで、リラックスしていきます。頭、目、鼻、耳、口、喉、首・・・と一つ一つチェックしていきます。

⑤ゆっくり弾く動作をしてみる

全ての動きは、身体がひとりでに動いている、というような感覚で動かすこと。その程度の動きだと思ってください。
また、できるだけリラックスするために、自分がリラックスできる場所をイメージしたり、リラックスできる香りを漂わせたり、コーヒーを飲んだり、環境を整えたりしてもいいですね。「リラックスする」ことが大切です。

【応用】手を広げるときの場合

手はパー

オクターブの連続などで、力が入ってしまって動かない、というようなときに、どうしたら動くようになるか、の提言です。

➀確認
肩・腕・手首に力が入らずに広げられる手の大きさを把握してください。
ゆっくり広げます。
手のストレッチです。
痛くなるまでは広げられないはずです。
「ゆっくり弾く」のところで、鍵盤の上でゆっくり手を広げて、鍵盤を押してみてください。
その幅は、どんなに早く動かしても弾ける幅となります。

②移動
移動するときは、一旦楽な状態に戻してから、再度鍵盤に合わせてゆっくり手を広げる。

以上の繰り返しです。
もし広げたまま移動しようとすると、移動時に力が入りやすくなります。
いちいち力を抜いてから移動していては、時間が間に合わないのではないのだろうか、と思わないでください。
長続きしません。
「できるだけ楽に弾く」のが大事なんです。
初めはとっても時間がかかりますが、慣れると、とんでもなく速く弾けます。

慣れるまで、年単位の歳月を要することも考えて、のんびり研究してください。
あなたの身体は逃げていきません。

まとめ

鍵盤♬

文字で書くと、とっても長くなる上に、伝わっているのか疑問です(笑)
レッスンだと、出てきた音が答えを持っているので、本当に楽です。
ただ、本当の意味では、自分で確認しなくてはいけませんので、練習するしかありません。
また、応用は沢山ありますので、一つで済むようなものではありませんし、自分で探す楽しみもあります。
レッスンで一緒に探していくのも楽しいものです。
少しでもためになったならうれしいです。


ピアノ指導に合わせて、音楽理論指導や保育士試験対策も行います。詳細を知りたい方は、石山東音楽教室の西岡裕美子まで。