BLOGブログ

ブログ

「チューリングラブ」ピアノアレンジ、楽譜制作

五線紙

札幌市南区芸術の森・石山東地区で、スタインウェイピアノ教室を主宰する、西岡裕美子です。

今日は、先週にアレンジした曲の経緯と完成するまでを書いてみたいと思います。

今まですぐに経緯を書いたことがなかったので、記憶があるうちに、思ったことややったことを赤裸々に書いてみたいと思います!!

目次

きっかけ

音への想い

最近生徒たちは、やりたい曲を自分で持ってきてくれるようになってきました。
長く続けていると、日頃から弾いてみたい曲を探すようになるんですね。
私の知らない曲もたくさんやってきます。

そんな時は、真剣に生徒にどういった曲なのかを聞くのですが、
とっても詳しく説明してくれます。
大好きな曲だからですね!
もう弾く気満々だということですね!

そうして教えてもらった曲が、「チューリングラブ」という曲です。
とっても流行っているらしいのですが、何と私は知らず・・・
とりあえず、とっても好きな曲だからということで、
アレンジすることを約束しました。
この子は、今までも何度もアレンジの楽譜を演奏していますので、
流れなどよくわかっていますので、躊躇なく話を進めてくれます。
お母様とのデータのやり取りなどの連携もバッチリです。

心折れかけた瞬間

心折れる

さて、私はアレンジをするとき、集中できるようにあらかじめいつやるか予定を組みます。
一日でできるときもありますが、曲について入り込めずに、心の準備が必要で、予定を組みなおすこともあります。

今回は、休み明けの月曜日にアレンジすることに決めました。
私は、まずは手書きで聞き取ります。
五線譜を用意して、さてアレンジしようと曲を聴き始めた時・・・

いや~これはたいへんだぞ・・・

メロディーの音が多い、歌詞が多い・・・
コードというより、歌詞の多さ、音の多さに面食らってしまいました。
ラップのようなリズム感にも面喰いました。

これを右手で弾くのね。と思った時、
小学生にこのテンポで速い連打を弾かせるのか?

そんなことも考えながら、手が止まってしまいました。

仕方ない、生徒に連絡しました。
音が多いけど、そのまま聞き取っていい?
メロディーの音を減らそうか?

やはり、こういう時は聞くのが一番。
きちんと答えが返ってきます。

できるところは弾きたい。
楽譜を見てできないところは音を減らす等、相談してもう一度作り直してほしい。

的確ですよね。

やることが明確になりました。
ありがとう!!

心入れ替えてアレンジに挑戦

がんばれ!!

さぁ、本腰を入れて聴き取りです。
金曜日の朝から、心の準備をして取り組みました。

小節数の把握

まず私がすることは、小節数の把握です。
前奏・歌の入り・サビの入り・間奏・後奏など、区切りのところに複縦線をいれて、必要なら歌詞も書いておきます。
こうしておくと、同じメロディーのところを書かなくて済みます。マークだけつけて、違う音のところだけ書けばいいのです。

大まかに聴き取り

それができたら、いよいよ聴き取りです。
強拍の位置に何の言葉や音があるのか、それに気をつけて強拍に音を入れていきます。
こうしておくことで目安になり、全ての音が聞き取りやすくなります。
高校生くらいからこのやり方でやっていますが、私はとても良いやり方だと思っています。
実はここで、意外と時間がかかった!!!
テンポが速いうえに、小節をまたいで言葉がたくさん!!!
小節ごとにまたぐところも多数。
次から次へと音がやってきます(笑)

音を埋めていく

次に、歌詞と音の関係、歌詞とリズムの関係から、音を埋めていきます。
ラップのようなリズムといったのはこのことで、言葉のアクセントの関係やリズムの関係で、音の変わる瞬間が変わってきます。
また、強拍や弱拍の関係、作曲者の好みも関わってきますので、絶対正しく聞き取らないといけないと、個人的には思っています。
そもそも音符というのは、基本的に偶数で一つの単位になっています。
1拍に5つならば5連符ということになるため、この小節にいくつの言葉が入っているのか、一つ一つ数えて、拍に当てはめていきました。
それがとっても大変で、頑張りました(笑)
基本的にコードが存在し、それに載せていますから、予測できるのですが、2通り予測できるようなことも多々あります。
どっちだ??という時がたくさんあり、何度も聞きなおしました。

ここまでで、8割くらいが終わりです。メロディーにかかるウェイトが大きい曲だったということですね。

ベースライン・コード

そして、ベースラインを聞き取ります。
この曲のベースラインを聞き取るのも案外苦労しました。
楽曲音源を作成するときの制作者の意図などにも関わりますが、
ベースラインをとても小さくするのが、最近の日本のポップスの流行と感じます。
生演奏感が薄れてしまうのですが、それをあえてしていると思うのです。
コードと合わせて特殊な感じがしました。
楽譜で書いたハーモニーと、コードが微妙に違います。
Em7とコードで書いたけれど、実際の楽譜は、Em7/d。
これ以上変えたくありませんでした。Eのベースラインがとても薄いのです。
制作者の意図です。
そう感じたので、そのままにしたのです。

そんな私なりの感じたことなどを楽譜に込めながら作っていきます。

ある程度必要なことを書き込んだうえで、この先はパソコンでの作業になります。

PC打ち込み

「シベリウス」という楽譜制作ソフトを購入して制作しています。
楽譜の完成度が高く、販売されている楽譜と同じ書式を使っているので、とても見やすいのです。
世界中で利用されていますので、購入するときはネットで、英語です。日本円でもありません(笑)
購入したときはドキドキしました💦
初めは「Sibelius First」というのを購入し、
表現の幅の限界を感じて、上位版の「Sibelius 7」にアップグレードしました。
これにより、ほとんどすべての表現ができるようになりました。

音符の打ち込みには、PC用キーボードでもできるのですが、鍵盤を使った方がはるかに楽です。
コードの打ち込みにも鍵盤で和音を弾くだけでコードに変換してくれるんです。
そこで、M-AUDIO から出ている「KEYSTATION49」という打ち込み用キーボードを購入しました。
もっと鍵盤数の多いものを買いたかったのですが、パソコンの前で大きな鍵盤を使うのには、
私の作業スペースでは限界がありましたので、49鍵で我慢しました。
オクターブの変換に鍵盤側でボタンがあるのと、PCキーボードでも対応できます。

生徒とのすり合わせ

ピアノを弾く

完成したところで、一応楽譜データを生徒のお母様に送信!
見ていなくても、できたよ!とデータを送信することで、とても楽しみにレッスンに来てくれます。これ大事なことかなと思います!

レッスンですぐに楽譜を確認。
ここは、音がないところだよ、とか、ここは音が多いよ、とか、ここの連打が大変かも!とか、色々説明して、弾いて見せます。

その過程の中で、ここは弾かないよ、とか、ここは音を2つに減らしたい、とか、いろいろ注文を受けます。
何曲もこの経過をたどった生徒なので、どんどん注文をくれて、あっという間に出来上がります。
なれていない場合は、何週間もこの作業を繰り返します。

この子は、そういったことも経験して、
今自分の目の前にある楽譜が、大体どんなレベルで、
自分が弾く場合、どのくらい練習して弾けるのか、どのレベルで弾きたいのか、
全てわかるようになった子です。
やさしく弾きたいのか、難しくてもいいのか、
本人の気持ちが強いため、私にはわからないところが多く、すべてこの子が決めます。

今回は、音の連打は必要だと判断しました。
自分のレベル、練習と曲の好き度・弾きたい表現まで全部考えています。
コードの音を減らしました。
やはり、メロディー重視の曲だということなのですね。

そして完成!
彼女の想いを汲んだ楽譜ができました!!

後日再アレンジの楽譜のデータを送り、ご家庭での印刷をお願いしました。

できた楽譜の販売

鍵盤と音符

こうしてできた楽譜を販売しようと思っています。
今回は2レベルできたことになりますが、簡単にする前の楽譜に、さらに音を加えてカッコよくしてからの販売を目指します。

演奏動画も出したいと思っていますので、頑張ってやってみます。

おわりに

Go!

今回は、ある生徒に頼まれて作ったアレンジ楽譜の話をしました。
ある一つの例なので、またある人によって違う例も出てきます。
もし何かまたの機会があれば、記事にしていきたいと思います。


音楽理論指導や保育士試験対策も行います。詳細を知りたい方は、石山東音楽教室の西岡裕美子まで。